8-2. 大腸菌でタンパク質をつくる場合のポイント
https://gyazo.com/c46126ed3d416a19ff66aa9dd02da825
https://amzn.to/2I6DMZu
1) コドンの使用頻度に注意する
アミノ酸をコードする複数の同義コドン間で、実際に使われるコドン使用頻度は、真核生物と原核生物で同じではない
このためタンパク質のアミノ酸配列に塩基を割り当てる場合は、できるだけ大腸菌での使用頻度が高いコドンを使用する
例えばプロリン(P)は、ヒトで最もよく使われるCCCは大腸菌では半分以下の使用頻度しかなく、CCGの方が適している
不溶化防止策をとる
外来タンパク質が細胞内で急速に、あるいは過剰に発現すると、タンパク質の正常な折り畳みが間に合わず、細胞内で不溶化するという事態になりやすい
タンパク質が凝集し、封入体といわれる構造体に包まれることもある
不溶化を防ぐための有効な措置
低温培養でタンパク質をゆるやかに発現させる
可溶化度の高いタグを付加する
タンパク質の折りたたみを促進するシャペロン(e.g. GroEL)を共発現させる
memo: 不溶家タンパク質の可溶化と再生
タンパク質が不溶化してしまった場合でもタンパク質変性剤(e.g. 塩酸グアニジン, 尿素)を用いれば可溶化させることができる
その後、透析によって変性剤を徐々に除き、ペプチド鎖を正しく折り畳ませることにより正常な状態のタンパク質を得ることができる
3) 発現させるタイミングを工夫する
異種タンパク質が細菌に悪影響を与えて増殖を阻害すると、タンパク質が十分に得られない
このため大腸菌を用いたタンパク質産生では、細菌が十分に増殖するまでは極力外来性タンパク質の発現を抑え、その後一気に発現させるという戦略がとられる
https://gyazo.com/21d830fdef3729e8bbf73428bc76a7bb
通常はタンパク質遺伝子はlacIで抑制されるlac、tac、lacUV5などのプロモーターの制御下に起き、細菌が増えたところでIPTGを加えてLacリプレッサーを不活化して、発現誘導させる